歯の話
2018.12.02
歯を失う原因第3位「歯が割れる」
こんにちは。
ハート歯科クリニックの峯岡です。
前々回、硬い食べ物や噛む力のコントロールについてお話させていただきました。
今回は「歯にひびが入ったり(亀裂)、割れたりする(破折)原因」についてお話させていただきたいと思います。
まず歯が割れると何がいけないのでしょうか?
それは歯が割れると歯を失う原因になりうるからです。
歯を失う原因の2トップといえば、誰しもが思いつく「歯周病」と「むし歯」。
歯磨きなどの日常的なホームケアで歯周病とむし歯には気をつけているという方も多いと思います。
50代以降の歯を失う原因の13%が歯の破折ということにも目を向けていただきたいのです。
歯根破折(しこんはせつ)とは、その名の通り歯が割れてしまう症状です。
歯の破折の原因には主に以下のようなものがあります。
①外傷による破折
転んだ、ぶつけたなどの外傷は上の前歯に多く、強い力が前歯にかかることによって、様々な種類の外傷があります。
②無髄歯(神経が死んでいる、神経を取った歯)
むし歯が神経まで進行し、痛みが強くなってしまった場合など、やむを得ず神経を抜かなければならない場合もあります。
歯の神経の空洞には、神経以外に血液も流れています。この血液から、歯の中に水分が運ばれています。神経がなくなった歯は、水分がなくなり、もろくなっていくといわれます。特に奥歯には、噛むときに60キログラム程度の力が加わるといわれます。力強く、長く加われば加わるほど、歯が受けるダメージは大きくなり、割れるリスクも高くなります。
③金属の土台
歯にさし歯を被せるときには、まず土台をつくります。
金属の土台はよく使われますが、周りの歯の組織が薄いなど、条件が悪くなると金属の先端部に押力が集中し、歯が割れやすくなることがあります。
③歯ぎしり・食いしばり
歯ぎしりや食いしばりは、無意識の行動のため、歯に強い力が持続的にかかります。そのため神経がある歯でも、割れてしまうこともあります。
歯ぎしりは、歯が割れるだけでなく、歯のすり減り、歯周病、顎関節症などに多くの負担を与えます。
④職業(重いものを持つ仕事,アスリートなど)
スポーツをする時は、歯を食いしばることが多く、アスリートの中には歯が擦り減っている選手も少なくありません。近年はスポーツマウスガードを装着する選手も多く見かけるようになりました。
⑤硬い食品嗜好
好んで硬い食べ物を食べる習慣、癖
このように歯の破折の原因には色々ありますが、痛みや歯ぐきの腫れなどの症状が出ない場合もあります。
そして症状が出ている歯根破折歯は残念ながら治療することができず、抜歯をするしか方法がない場合が多いです。
しかし、抜歯をしたくないからといって割れた歯をそのままにしておくことはとても危険です。
放置しておくと細菌感染を起こすこともありますし、『骨吸収』といって、顎の骨が吸収されてしまい隣の歯までダメージを受けてしまうリスクもあります。
歯根破折に無関心でいることは、自らの歯を失うことに直結しかねないのです。
むし歯がある、治療した歯がある、歯をくいしばる癖がある…といった人は、定期的に歯科検診を受けることをおすすめします。