歯の話
2017.03.11
歯科専用のキシリトールガムは効果大
こんにちは。
ハート歯科クリニックの峯岡です。
「キシリトールガムは歯にいい」
なんとなくそんなイメージをもっていらっしゃる方が多いと思います。
当院にも置いてありますが、先日このガムを噛んだ方から
「普通のガムより早く味がなくなる」「なんか硬い」という声が聞こえてきました。
そこで今日はキシリトールガムが歯にいいと言われる理由や市販されているキシリトールガムと歯科医院で販売されているキシリトールガムの違いについてお話しますので、商品を選ぶ際の参考にしてみてください。
キシリトールとは一体何かというと、白樺(しらかば)や樫(かし)の木などからとれる天然の甘味料です。
ではなぜキシリトールがむし歯予防に効果があると言われているのか?
その理由を理解するためにはむし歯になるメカニズムを知っておくとわかりやすいです。
- 口の中にいる無数のむし歯菌が
- 甘いものを栄養として
- 酸を出して
- 歯を溶かす(=この溶けた歯のことをむし歯といいます)
歯はこのメカニズムで虫歯になります。
ではこのどの段階にキシリトールが関わっているのでしょうか?
それは「3.酸を出す」です。
キシリトールは砂糖と同程度の甘みがありますが、むし歯菌がキシリトールを代謝できないのでお口の中で酸が全く作られません。
いっさい酸が作られないので、むし歯のメカニズムでいう「4.歯を溶かす」にまですすむことがありません。
これがキシリトールが虫歯の原因にならない理由です。
他にもキシリトールガムを噛む効果はいくつかあります。
1.むし歯菌の活動を弱める
むし歯の原因菌であるミュータンス菌はキシリトールを代謝することができないので、酸やプラークの元(不溶性グルカン)を作ることができません。
しかし、ミュータンス菌はキシリトールを取り込んで代謝しようとし続けるので、エネルギーを得ることができず、ミュータンス菌自体が弱ってくると考えられています。
2.唾液分泌の促進
キシリトールは砂糖と同じくらい甘いため、口の中に入れると味覚が刺激され唾液の分泌が促進されます。またガムを噛むこと自体が唾液腺が刺激し、唾液量が増加します。
実は唾液にはさまざまな作用がありますが、その中でもむし歯予防に関与している作用は自浄作用(菌を洗い流す)と中和作用(酸を中和する),再石灰化作用(溶けた歯を修復したり歯の成熟を助ける)です。
つまりキシリトールガムを噛むと唾液量が増加し、歯の再石灰化につながるのです。
3.プラークが歯につきにくくなる
ミュータンス菌の活動が弱まることでプラークがサラサラになって歯の表面からはがれやすくなります。
プラークが剥がれやすくなることでブラッシングの効果が上がりむし歯になりにくくなります。
ではキシリトールガムならなんでも効果があるんでしょうか?
答えは…NOです。
キシリトールのむし歯予防効果を得るためには、その製品にキシリトールが50%以上配合されていることが必要です。市販されているキシリトールガムの場合、キシリトール配合と書いてあっても、微量しか配合されていない場合もあるので注意が必要です。
市販品と歯科医院専売品の違いは、甘味料にキシリトール以外の糖質が使用されているかどうかです。キシリトールが配合されていても酸を出す甘味料が使用されていては意味がありません。
歯科専売品では甘味料にキシリトールを100%使用していますので、キシリトールの効果が十分に期待できます。
これが市販品と歯科専売品の大きな違いです。
また歯科専売品は矯正装置や入れ歯にくっつきにくく、市販品よりも硬いガムベースなので噛む力が鍛えらえれる、歯の主成分であるリン酸カルシウムを市販品よりも多く含んでおり再石灰化に有効であるという特徴もあります。
ではキシリトールガムの効果的な噛み方は?
せっかく噛むのであればより効果的に噛みたいですよね。
一回に2粒を、一日に3〜4回噛むと効果的です。
(歯科専用のキシリトールガムには1粒につきキシリトールが1.3g含まれており、このペースでかむと、むし歯予防に効果的なキシリトールの量5〜10gを摂取することができるからです。)
またガムの味がしなくなっても5~10分は噛みましょう。
特に100%キシリトールを甘味料に使用している場合は味が持続しないことが多いですが、 味がなくなっても唾液の分泌を促進するために5~15分噛みましょう。
噛んでいる間に出る唾液がいっそう虫歯予防のために働いてくれます ♪
ただ、あごや歯に痛みがあったり違和感がある方は無理しないでくださいね。
最近はキシリトールタブレットやキシリトールチョコまであります。
何か気になることがありましたらお気軽にご相談ください。