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2018.03.12
骨粗しょう症の恐怖
こんにちは。
ハート歯科クリニックの峯岡です。
先週の土曜日に広島市歯科医師会館で開催された学術講演会に当院のスタッフと一緒に行ってきました。
講演のテーマは「骨粗しょう症患者の口腔管理の重要性~顎骨壊死を予防・早期発見するための医科歯科連携を考える~」
医師の立場から、呉でご開業されている沖本クリニックの院長、沖本信和先生のお話と歯科医師の立場から、呉共済病院歯科口腔外科部長の東森秀年先生のお話でしたが両先生のご講演ともわかりやすく非常に勉強になりました。
講演で取り上げられていた「骨粗しょう症」
今日は骨粗しょう症について学んだことを紹介したいと思います。
骨粗しょう症とは骨の代謝バランスが崩れ、骨の形成よりも破壊が上回っている状態のこと。骨の量が減って、中がスカスカになってしまう病気です。
骨粗しょう症が進行し、骨がもろくなるとちょっとしたことで骨折しやすくなります。
骨折する部位として多いのは、背骨(胸椎・腰椎)と手首、腕の付け根の骨、足の付け根の骨(大腿骨近位部)です。
骨粗しょう症になる人の割合は年齢が高くなるほど上がり、50歳以上の女性の3人に1人が骨粗鬆症にかかっています。更年期以降の多くの女性にとって、骨粗しょう症はとても身近な病気なんです。
骨粗鬆症の年代別有病率(山本 逸雄ほか : Osteoporosis Jpn 7(1) : 10, 1999 )
骨折の内、最も深刻な太股の付け根「大腿骨頸部」骨折は、年々増え続け、最近の調査では年間8万人(1992年)と推定されていて、5年前の全国調査から1.5倍にも増えています。
大腿骨頸部骨折は、寝たきりにもつながることから、社会的にも深刻な問題となっています。
(講演資料より)
そして、骨粗しょう症による大腿骨頸部骨折患者の5年生存率は60%以下
(講演資料より)
この数字には驚きました。
大腿骨頸部骨折は動くことができないことから寝たきりにつながり、そうなると身体機能が急速に衰えます。患者の40%は退院できない上に、1年目の死亡率が20数%に達し、4人に1人は亡くなるという報告もあるそうです。
骨粗しょう症は静かな病気で骨密度が少々減っても痛くもかゆくもないので、自覚症状が全くないのがこわいところ。歯周病と同じく患ってしまってから気づく病気で、それでは遅いんです。従って定期的な骨密度の測定が勧められています。
(歯周病について定期的な歯科検診が必要なのと同じですね。)
しかし何より大切なのは、骨の強度を維持して骨粗しょう症にならないように「予防」すること。基本は食事・運動・日光です。
食事の中でも大切なのはカルシウムやビタミンD
ビタミンDと聞いてピンとこない方は多いのではないでしょうか?
(私自身、ビタミンDってこんなに大切だということをこの講演で初めて知りました。)
ビタミンDの役割は、体内に取り込まれたカルシウムを小腸に吸収されるのを助けることです。
ということは、ただカルシウムを摂取していてもビタミンDが欠乏していたら意味がないということになります。
また、ビタミンDはそれだけでなく、筋力増強効果や、転倒予防効果が認められたとの報告もあり、骨強度だけでなく、骨折の原因となる転倒にも効果がある素晴らしい栄養素です。
アメリカではそれらの観点から多くの牛乳やオレンジジュースにビタミンDが入っているそうです。
すごいですよね。
またビタミンDは日光に当たることによって体内で生成されます。
ビタミンDを多く含んでいる食品
↓
適度に日光浴をしてビタミンDをしっかり摂る。
骨粗しょう症を予防して元気に齢を重ねていきましょう。